有限会社エコネットワークス 代表取締役野澤健

サステナブルなあり方を「個」から実現する

CITIZEN

意思のあるすべての人がチーム・サステナビリティ

世界各地に広がる仲間たちとともに、サステナブルな社会の実現を志す「チーム・サステナビリティ」。それが「エコネットワークス」だ。組織や個人の行動変容を促すさまざまなサービスを通じて、環境・人権などの社会課題解決に伴走している。コロナ禍以降、当たり前となったリモートでの働き方だが、彼らはその10年以上前からこのスタイル。ただ、組織の形はさまざまな環境に合わせて変化してきた結果、自分たちの目指す方向などを再整理する必要が出てきたと、代表取締役の野澤健氏はいう。

「最初は代表や数名の雇用パートナーが中心となり、そのまわりに業務委託パートナーがいる形でした。その後、業務委託パートナーも組織の基盤を担うようになるなど、関わり方も多様化するなかで、皆で目指す方向としての存在意義(パーパス)を改めて考えるようになったのです。これまでも持続的に働くための『エコネットワークス ワークポリシー』を業務委託パートナーと一緒に策定し、実践してきました。その後もどのような働き方をすべきか、どう取り組むべきか、仕組みづくりはどうするかなどの議論を重ねていった結果、私たちのあらゆる活動のベースとなるパーパスも幅広いパートナーを巻き込んでつくっていこうと、自然になっていったわけです」

約三年かけた「発酵プロセス」で誕生したパーパス

パーパスの公表は2024年冬だが、パーパスの策定に関する議論自体は2020年ごろからスタートしていた。

「2020年はちょうどコロナ禍で大きく状況が変わったことや、私が育児休業に入ったこともあり、これまでの仕事のやり方ではダメ、変わるタイミングだということで、私が復帰したころから中期的な組織のあり方、中期経営計画の議論を始めたのです。結局三年以上かけて、パートナー一人ひとりとじっくり議論をしました。普通の企業だとあり得ない話だと思いますが、私たちが何より大切にしていたのが、関わる皆が納得し、理解を深めながら、同じ土俵に立ってつくり上げていくというプロセスです」

まず最初の一年間は、自分たちに関連するさまざまなテーマで、現状や問題意識の共有をするセッションを月一回ペースで実施。2年目は、組織、事業、文化という観点で議論を深める対話を重ね、三年目にはこれまでの内容を踏まえてパーパスに落とし込んでいった。議論対象者は役員から雇用パートナー、業務委託パートナーなどさまざま。策定プロセスへの参加の形も多様で、手上げ式を基本としつつ、事務局から意見を聞くなど、できるだけ多くの声を拾うことを意識した。通常やり取りしているパートナーが年間50〜60人いるが、その三分の二以上が複数回のセッションに参加し、三年かけたプロセスに継続的に携わった方も20人弱いたという。また運営を担う事務局も担当者が入れ替わりながら、バトンのようにつないでいった。

「組織のパーパスを最初から考えるというより、エコネットワークスに携わる個人のやりたいことと、組織の方向性を合致させるということを大事にしました。個人のマイパーパスをまず持ち寄って、その集合体で重なるところが私たちのパーパスとなり、その内容を会社のパーパスとして明文化していったというプロセスを経たわけです。ですから非常に長い時間がかかり、あるメンバーはプロセスを『発酵』と例えていましたね。でも、そのおかげで個々人のなかでやりたいことや、エコネットワークスとの関わりなどを見直すタイミングにもなり、それが熟成されていって最終的に共通の文言として形になったので、とても良いプロセスだったなと思っています」

エコネットワークス
「私たちのパーパス」(存在意義)
Foster Team
Sustainability together,
everywhere.
一人から始まる思いがある。
仲間とだからできることもある。
意思のあるすべての人が
「チーム・サステナビリティ」
 
© 有限会社エコネットワークス・パーパス制作チーム イラスト・デザイン:戸塚 晶子(CO STUDIO)

いつも会えない仲間だからこそ手に取れるリアルなものでつなげる

新しいパーパスができた次は、その浸透をいかにするかが課題だった。

「次のステップとして、このパーパスをどのように実行していくのかを考え、絵本のような小冊子にまとめました。デザインもイラストも言葉も、パートナーたちと一緒に考えたものです。そしてできあがった小冊子を普段は会うことのない私たちのパートナー全員に、あえて手に取れるリアルなものとして届けました。国内外問わず、いつもは離れているパートナーでも、ふとこの小冊子を見たとき、手に取ったときに、私たちエコネットワークスのチームのつながりを感じられるもの、自分がやりたかったことを思い出せるもの、そんな思いを呼び起こすようなものにしたいと思ったからです」

「サステナビリティ」という概念自体は社会に広がったが、世の中が良くなったのかといえばむしろ後退しているところも多々あるなかで、自分たちの思いを広げていく意思を表現したのが小冊子の表紙に描かれた波のモチーフだそうだ。

「サステナビリティというのはビジネスだけでもないし、生活や暮らしだけでもなく、社会全体のあり方だけでもない。全部がつながっているわけで、それに取り組むのであれば、一人ひとりの『個』が自分の仕事や暮らしのなかで向き合って考え、実践していくべきことだと思うのです。そしてその『個』がつながり、それぞれが持つ強みや専門性を活かして協働することで、変化の波を社会全体に広げていくことができると思います。私たちはそういう人たちや企業、あるいは社会とつながって、新しい動きをつくっていきたいと考えています。現在はそうした実践の場として、部門や組織を超えてつながり、互いの知見をシェアし、学び合い、対話をする『Wave With(ウェーブ・ウィズ)』という活動に取り組んでいます」

「個」が輝くサステナブルな社会を実現するため、波を起こす一滴の雫になる。エコネットワークスは行動理念であるミッションで謳っている通りに、パーパスの実現を目指して新しい挑戦を続けている。

野澤健

有限会社エコネットワークス代表取締役。愛知県出身。国内外の幅広い社会課題にアンテナを張り、CSR・サステナビリティ関係の調査・分析、ステークホルダーダイアログのファシリテーション、プログラムの企画・運営支援などを担当。2011年取締役就任、2016年より代表となる。

有限会社エコネットワークス
https://www.econetworks.jp/

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